『沈まぬ太陽』 山崎豊子著
これはひさしぶりにどっぷりはまった本でした。
思わず会社の上司に貸し出したほどです。
映画化が決まったあとに読み始めたのもあり、渡辺謙の顔がチラつきながら
読みました。
まず、私がはまった第一の要素は、ズバリ知り合いが登場人物の1人だということです。
誰かは明かせませんが、自分の知り合いが小説に出てくる、しかもほぼノンフィクション的にでてくるなんて滅多にあることではありません。
本人からも聞いたこともない色々な情報を初めて知り、ヘェーーと唸っておりました。
今度本人に会ったときは、色々と聞き出したいとたくらんでおります。
第二の要素は、会社と会社員の挙動が自分の会社にあてはめたときに想像しやすかったことです。
特に御巣鷹山の事故に関してのさまざまな局面は、非常にケーススタディ風に勉強になりました。
第三の要素は、舞台となる土地です。日本、イラン、ケニア、ニューヨークなど、興味があり、行ったことがある地域でストーリーが繰り広げられたこと。
最後に、これが一番大きいかったかもしれませんが、
主人公を通して、この世に生きる様々な日本人の生き様を伺い知ることができたことです。
主人公はそんな世界で生きている日本人を身近に感じながらも、自らが与えられた職務と責任から逃げず、逃れることもできず、全うしようとします。
職業選択の自由、住む場所の自由、思想の自由、な社会にあっても、ただ誠実に生きようとする人間は、ここまで、窮屈さと苦痛を長く経験しなければならないものか、と正直精神的には疲れますが、
たった一度の人生をどう生きるのか、どこまで自分だけで決められるものなのか・・・などなど色々考えさせられた小説でした。