『折りたく柴の記』新井白石 著 桑原武夫 訳
昔、学校でこの言葉と著者だけは習った覚えがあったけど
言葉の意味は知らないままだった。
ちょっと調べたら、
「思い出の記」のような意味なのだそうだ。
ふとしたきっかけで読むことになったのだけど、
予想外に面白い。
徳川将軍にお仕えした数年を中心に書いているのだけど
将軍が代わるごとにその人を取り巻くブレーンのような人たちも
入れ替わるのは今の時代と代わらないのだなと思った。
そして縁あって将軍になった人というのはやはりなかなか立派な人格者なのだなと
思った。
江戸時代につくられたとされる"しきたり"や"風習"はこうして
カタチ作られていったのだということがよくわかってとても興味深かった。
けして「コレダ!」という正解があるわけではなく、新井さんのような博識家に
将軍が諮問しながら決定されていった様は読んでいて非常に腑に落ちる。
伝統というものに関して現代の私達は学校で扱い方について習わないので
自分で知るしかないのだけど、知ることはとても大切なことなのではないかと
最近感じ始めていたのでとてもいい勉強になった。
全編とおして著者本人の謹厳実直な人柄が文章ににじみでていて
現代の、今、読むのにとても心地がいい。
読みやすいのは多分、新井氏本人の記述を現代語訳した人が
いるのでその人がすごいのだと思う。
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