私の会社は平成元年に芝公園に移転した。
移転前の15年程は日本橋の本町三丁目にある小さな雑居ビルでした。神田駅、新日本橋駅、三越前駅が最寄り駅。サラリーマンの街神田、日本橋はランチ、飲み会には大変便利な街だった。
新入社員の頃に先輩に連れられて三越前の広告会社に打合せに行き、帰りにカレーをごちそうになった。
M先輩は目を輝かせて美味いカレー屋が有るんだよ、日本橋の名物なんだよと言って私を連れて行った。
私の概念(?)にあったカレーとは全く違う食べ物だった。
まずとても辛い、シャバシャバなソース、韓国料理かと思うほどニンニク臭、熱い。
確か暑い夏の日だった。冷房さえ充分でない古い木造の蔦のからまる二階家、ギシギシ音の鳴る階段を昇って2階のテーブルで汗びっしょりで食べたのを憶えている。
オーナーは多分変わった方、メニューはカレーとコーヒーだけ。でもコーヒーを飲んでいる人を見た事は無い。店に入っただけで、オバサンはキッチンに向かって『イッコー』と叫び、1分後には配膳される。勿論二人で行けば『ニコー』。大盛りも無し、食べたければもうイッコー。
女性客の中には半分も食べられずギブアップの人もずいぶん見た。
正月やお盆の休みも当時から大胆に2週間以上お休み。進んでいました。
それからは月に数回、特に二日酔い気味の日のランチで食すれば二日酔いは一発で解決だった。
自分が良しと思えば、カレー好きのお客様もずいぶんご案内した。
会社が芝公園に移転した後も年に数回は機会を見つけてその味を楽しんでいた。
2006年、この店が閉店すると聞いて当時を知る社内の仲間と最後の味を楽しみにも行った。
もうこの味が味わえないかと思うと多少センチメンタルな気分になったが、当時のあの味に近いカレー屋に巡り合えるのもまた違った楽しみ、今は新橋の『Nagafuchi』が近い味ではないかとと思う。
私めもうっすら記憶があります。確か木屋の並びというか、道を挟んで向かいにあったような。
当時、本格インドカレーなどあまりなく、カレーといえばそれぞれの店が独自の味を出しながらも、あくまでも日本風という感じでした。
その中にあって、かの店は一種独特、あの辛さは「気違いじみて」いました。本格インド風でもなく日本風でもない、言ってみれば国籍不明のエスニック。
最近は、チェーン化した店ばかりで「このやろめ、これがウチのカレーだい!」という自己主張する店が少なくなりました。
ちなみに私、週に一度は必ずカレー。夜勤時に百均で買ったレトルトです。
穴六さま
コメント有難うございます。
かの店を語れる世代も段々少なくなりました。
木屋は新しくなった隣の大きなビル(コレド?)に移転し、元一広の有ったあの一角は
取り壊されて新しい開発が始まるそうです。
気違いじみたカレー屋は木屋の前ではなくもう1ブロック神田寄りにありました。